インザ・ミソスープ/村上龍

2016/09/15 07:04
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読む本がなくなって本棚の奥から引っ張りだした1997年の龍。もうほぼ内容覚えてなかったので3周位まわって新鮮というな。

村上龍は私にとっては一言一句あまさず読むという作家では全然なくて、むしろあえて一言一句読まずに感覚を味わう小説。
というか、一言一句読んでると酔ってしまう
なんだろうねこの村上龍ならではのキャラクターの生活感というか人間臭は。もちろんフィクションなんだけど、それはそれとしてこういう人どこかに必ずいるんだろうな、と。多分、いる。
だから、現実の他人と一緒でどれだけ話を聞いても決して100%相手を理解することができないという人間にとっての大きな溝を感じるというか、相手の境遇は納得できてもほんとうの意味で理解はしていないわけで。それは絶対に。みんなそういうのの上辺というか、理解できないところもあるうえで理解できるところだけをうまく付きあわせていきてるわけで。

この作品に出て来るフランクという男、本当に理解できないししたくない。
だけどなんだか話は聞きたくなるという不思議な魅力がある。
だからといって納得は絶対にしないけど。

主人公も刹那的というか、世の中を舐めているうえでなげやりという感じがあって(村上龍お得意のキャラクターだが)、とりあえず私は関わりたくないタイプだが、それでもそれなりに真摯というか仕事にだけは妙に真面目で、

あとこの作品には小説界でもかなり壮絶で激しい惨殺シーンがかなり克明に描写されてるんだけど(このシーンこそいよいよ真剣に読むと具合を悪くするので薄めで読むことをオススメ・笑)、その事件に対峙したときの妙な卓越感というのは印象的。
あまりにも非現実的なことが起きると人間ってこんな感じなんだろうなって。心と体が離れてしまっている状態の描写がとても素晴らしかった。

自分というものをしっかりもってる人が読まないと、かなり惑わされる内容かもしれない。
コツはしっかり読まないこと



何度も書いているが、私は基本的には何も信じない。

幽霊も信じないし
呪いも信じないし
UFOも信じないし
神様も信じないし
他人も信じないし
自分も信じない(「後でやろう」は切羽詰まるまでやらない)
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だけどひとつだけ、

悪魔は存在すると思ってる。


そしてそれは往々にして人間とそっくりな形をしている


陥れようと満々なやつもいれば、悪魔本人が他人を惑わそうと意識してないパターンもある。見た目では絶対に分からない。
どちらにしても人当たりの良さそうな笑顔で物腰低く近づいてくる。


今回読んだ本のフランクもまさに悪魔的で。
自分の理論に従っていれば他人の気持ちはどうでもいいというか、他人というのが確立した自己があることを全く認識出来ておらず、どれほど残酷なことをしても反省も無ければ後悔もない。さらにフランクは快楽というものもほとんどない。

こういう言葉が通じなくて、他人に譲歩する気がまったくなく、折り合いのつけようもないところはまさに悪魔である。


ディズニー映画を見ていても、悪役は絶対出て来るわけだけど、その悪役の本質が”魔女”とか人外の場合は悪さをすることそのものが本質なので、もう全く異質のものとして私は理解する。善悪の基本が違うから主人公にとって悪であることをするのは当たり前。
例えばディズニーヴィランズの中でも悪名名高い「眠れる森の美女」のマレフィセントは、元々”魔女”なのでひがみっぽくて陰湿な嫌がらせをするのはごくごく自然な流れなのだ。

一方で、完全に人間なのに私利私欲のために異常行動をする者こそ本物の悪であると私は感じている。


というわけで、
私が考えるマジで怖いディズニーヴィランズBEST3
能書き垂れたけどこれがやりたかったのさ!
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第三位 「ロビン・フッド」のプリンスジョン
   国王という立場をフルに利用して民から税金をむさぼりつくし自分だけは豪遊するという実にリアルな悪。現実的な悪なだけに、裏を返すと権力を持つと人はこうなると言っているようである。

第二位 「ノートルダムの鐘」のフロロー
 障害者の主人公を出来損ないだと言い、ジプシーは迫害するという人種差別が恐ろしい。人種に本来上下は存在しないので、「自分が偉い」というおそらく多くの人間が持つであろう傲慢さが駄々漏れになっている。

第一位 「101匹わんちゃん」のクルエラ・ド・ヴィル
 実は圧倒的な1位。なぜかというと前者二人はあくまでも政治的にかなり重要な立場にいて国民のためにという建前を持つことが可能であったことにたいして、クルエラだけは完全に個人の私利私欲のみで動いている。
毛皮が好きだという理由だけで動物の残虐を的に殺しまくり、時には自分の手を汚すのも厭わない積極性。魔女でもなんでもないごくごく普通のキャリア・ウーマンがこの本質である。クルエラ・デビルというアダ名は伊達ではない。


こないだ久々に101匹わんちゃん見なおしてこの人の凄さに圧倒されたよ。



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