ヒトでなし 金剛界編/京極夏彦

2016/08/03 07:10
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京極作品では少数派の
不思議なものが全く出ない現代小説

すんげぇ怖かった…

登場人物全員闇堕ち中。
こういう人間というものの奥底にふれるものが一番怖い(幽霊とか妖怪とかは実際いないのでどんなにホラーチックにしててもファンタジー感がぬぐえないよな)

娘の死をきっかけに離婚して財産のすべてを失いホームレスになった主人公。
事業に失敗して億ションに住みながらも餓死を待つしか無い荻野。
この2人は読んでてすごく思うのはとてもハートが強いということ。確かに不幸せなんだけど、ハートが強い分他人にとても冷たい。他人の痛みをわかったふりができない。だから招いた孤独。
なので同じ孤独でも巨額の財産相続をしたことで婚約者も親戚も全員が豹変したという祐子だけはちょっと立場が違うというか、この人の場合本当に降りかかってきた災厄であり唯一気の毒なキャラクター。

ある殺人をきっかけに全員で山奥の寺に行くことになるのだが、そこにもヒトでなしばかり。
とにかく見てはいけない人間の奥底ばかりを京極さんは半端ない文章力と想像力で見せつけられるので、真剣に一字一句逃さず呼んでると闇にひっぱられます。上辺をなぞるのがおすすめ。それでも傷ついて寝れなくなった。

闇がぎっしり詰まった作品ですが、唯一主人公がリストカット少女に言葉を放つシーンだけが
ものすごい爽快。
このシーンだけでも見ものです。
さすがは京極さん、胸のもやもやをすべて文字に起こしてくれる。


ちなみにこの作品もすべてのページが句点で終わるなど京極さんのいつもの仕掛けがしてあります。語彙も複雑。さすがです。



京極さんの作品は実によく考えてあるので、この人本当に秀才だなぁと思う。
作家ファンの間では天才という人もいるが、この人は明らかに秀才。そして職業選択が正しい人。
秀才と天才の区別ははっきりさせたい。

天才キャラというとよく取り上げられるのは「デスノート」がだが、私の中ではこの作品に天才は出てこない。
ライトは秀才、
Lはかなり天才よりの秀才、
ニアが天才がちょっと入ってる秀才だと思う。


では、私が思う天才とは何かというと
・自分の気持ちが自分でもよく分からない
・自分の考えを他人に理論建てて説明できない
・絶好調で負けるなど不可解な敗退がある
・日常生活はポンコツ
・自分ができる人間である自覚がない

である。


漫画のキャラクターで言うと
 北島マヤ(ガラスの仮面)
 一ノ瀬海(ピアノの森)
 宮本すばる(昴)
 新妻エイジ(バクマン。)
 茄子(鬼灯の冷徹)
が私の思う本当の天才。


そして私は秀才より天才のほうが好きだなぁ。なんかかわいいから。
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実際にいたらムカつかない自信はないですが(笑)



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