書楼弔堂 炎昼/京極夏彦

2017/09/16 07:03
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今回も厚い京極夏彦…表紙を入れて3.9cm。改行が多いとはいえよくこれほど書くもんだ。この人は自分を表現するのが文章というよりは文章書くのが好きなんだなぁって思う。

時代は明治か大正くらいでしょうか。
主人公の塔子が偶然たどり着いたのは一面そして天高く本が積まれた不思議な本屋。ここの店主は客人に合った本しか売ってくれない。この本屋と、そこを訪れる偉人たちとの不思議な交流…

偉人がマニアック過ぎ。私に学がないのは認めるがそれにしても知らない人多い。勝海舟は名前はしってるけど具体的にどんな最期をむかえた人だっけ??
書籍がマニアック過ぎ。私はたいして読書家ではないので知らないけれど、全部実在の本なんでしょうね。

正直私は弔堂で交わされる会話よりも、ここにたどり着くまでに起きる塔子の身の上の諸々がとても興味深かった。
時代、と言ってしまえばそれまでだけど、女が本を読むなど無駄なことだとまだ堂々と言う男がいっぱいいる中で、押し入れに隠してある1冊の本を夜中にこっそり2~3ページずつ読む塔子の姿や、女性の人権について考えたり語ったりするシーンは実に色々と思いを馳せらされた。
自由に本が読めるっていいなあ。


読み終わって気付いたけど、これおそらくシリーズで2冊めですね。目次が7から始まってたわ。これ1冊でも綺麗に始まり綺麗に終わっているから、前作は弔堂だけが同じで主人公が違うのかな?機会があれば読んでみます。
厚いのでしばらく休憩(笑)
るもえブログはまだ続く。



砂の王国(下)

2017/09/02 07:09
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間があったけどやっと下巻。
1周目は主人公が金儲けのためだけに作った新興宗教団体がいつボロが出てしまうのかとハラハラしながら読んでいたけれど、二周目になればあらゆるところに人生の皮肉が込められているのが見える。
切望的状況で元嫁から連絡が来た件も、1周目は希望の光に見えたが2周目はもはや救いではないということがよく分かる。そーら電話もかけられんわー。

途中からの仲村くんの変化も非常に見もの。そして是非もう一度読みたいと思っていたアスペルガーの告白。フィクションであるものの言葉が非常に切実でリアル。周囲の人間よりひとつ上のレベルにいるからこそのすれ違いと困惑は非常に関心を寄せた。

この作品のラストが、もうね、素晴らしいんだよね。
ここ数年で読んだ中では完璧のラストではなかろうか。
人の心ってそんなに単純なものじゃない。操ろうと思ってできる範囲から大きく逸脱するし思いもかけない方向に動く。
それは自分自身だって。金が余るほどあって住むところがあって自分を持ち上げてくれる部下ができたところで、自分の身の丈を超えることをするのは苦しい。それだったら住むところがなく今日の食べ物に困ってたとしても自由を手に入れるほうがいいということは往々にしてあるだろう。
心って縛っておけないね。自分の分さえも。
るもえブログはまだ続く。



砂の王国(上)/荻原浩

2017/08/22 07:04
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前回読んだ時大絶賛したこちら。本当に面白かったので、文庫化したものを再度購入してきました!2周目なので今回はじっくり読んでいます。

ホームレスに落ちた一流証券マンが再び社会から食いっぱぐれないために、美形の大男仲村と、うさんくさいインチキ占い師龍斎とともに偽物の新興宗教(お金のためになんやかんやと言い立てる完全に商売でやっているタイプ)を立ち上げるのだが、初回はやはりこの奮闘ぶりが面白かったが、2周目となるとそこにたどり着くまでのホームレス生活の描写のリアルさにほとほと感心する。なんかもう、作者作品のために一時本当にホームレスやってたんじゃないか?マジで疑う。だって想像だけじゃわからないことがたくさん記されている。
このホームレスあれこれが上巻のうち半分を締めているのだが、結末を知ってから読む2周目だとここのたくさんの伏線が張られていることがよく分かる。後々仲村くんがとある障害を抱えていることがわかるのだが、改めて読むとその障害の特徴が実によく出ていた。気づけなかったのが恥ずかしい。

新興宗教を開いていからも、詐欺の手口を客観的に見れるのでいちいち感心する。人間の心理を実にうまく利用するもんだなぁ。「大地の会」の門をたたくキャラクターも非常に興味深い。

文庫化されているとはいえこの本はもっともっと売れてもいい!
非常によくできているので沢山の人に読んでもらいたい!
るもえブログはまだ続く。



石の森/三浦綾子

2017/08/10 07:08
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三浦綾子の世界感は他の何にも変えられないな。文章力がすごく高いわけではないはずなのに(実際不要の表現はポロポロあるが)繊細な少女の心の揺れ動きを事細かく的確に言い当ててる。
私もね、心身ともにかわいかった少女の頃があったのですよ。その時こんなこと考えたなぁって。

少女の世界は狭い。
家族、学校、友達、好きな男性
せいぜいこのくらい。ここで重要なのは意外と「自分」が入っていないこと。みんなと仲良く浮かないようにするのに一生懸命で、本当の自分が確立するののは時間がかかるのです。
そのどれか一つでも均衡が崩れると居場所がなくなって、居場所がなくなると自分もなくなるに等しい。自分の居場所はここだけじゃないと知るのはずっと先だから。

大人になっても家族って大切な存在だけど、その家族が自分の知らない世界があるってすぐには受け入れ難い。とくに芳しくない秘密は。
親にも過去があると、頭では分かってても気持ちが納得してない部分がある。

こういう思春期のぐらつきが全て文字で記されているので、この本を読んでいる間だけ私も10代の繊細な気持ちをぐいぐい引き戻されました。
あの頃死ぬほど辛いと思っていたことは、今は全てがアホみたいだ
年をとると経験が増えて、ちょっとやそっとのことでは動じなくなるし卓越できる。意外と悪くないのです。
るもえブログはまだ続く。



帰ってきた腕貫探偵/西澤保彦

2017/08/05 07:08
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腕貫探偵の新作だよ‼(2016年の出版)
連載してたんだね。タイトルに偽りなし。
ということは地味に人気があるんじゃなかろうか?私以外にも待ってた人がいたということだろう!

腕貫さんは相変わらず淡々と市民のご相談に乗るがご本人の謎は一切とけないまま。
ユリエさんとかは一応出てくるんだけど。新キャラに女装男子が登場したのでちょっと気に入っている。

4編入ってて、うち1本は普通、ラスト2本は掟破りなのだが(腕貫探偵こういうこと多い…)『毒薬の輪廻』だけがめちゃめちゃおもしろい。この1本のためだけにお金を出す価値がある(腕貫探偵ほんとこういうこと多い…)
同じタイプの女が3人集まるとこれだけの不運になるのかと…
同じ過ちを犯しているだけに誰かを攻めることも出来ず。
二周しても面白い。なぜ春次がこういう大胆かつ不可思議の行動が取れたのか二周目なら完全に納得できる。主人公の息子が死んだ件をもうちょっと突っ込んでほしかったのが唯一の気がかりだな~(野次馬根性ですが…)

私やっぱり腕貫さん好きだなぁ。この人の安楽椅子探偵ぶりは御手洗潔すら超える。
型にはまった公務員というキャラクターもいい。
映像化しないかな~。
るもえブログはまだ続く。



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