教団X/中村文則

2017/11/13 07:14
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話題作なので手にしてみたのですが、そもそも中村文則さん自体は私は読むのが初で、どんな方かと思って略歴を見てみると過去の受賞歴に
『大江健三郎賞を受賞』
とあった。この一文で推して知るべし。要するに大江健三郎賞を受賞できるタイプの作家です。

私としてはいささか相性が悪いのだが、
これがすごい作品なんだ。
「なんだこの内容は…」と思いながらも一気に読み進めてしまった。

タイトルの通り新興宗教が関係してくるんだけど
この先生、普段からこんなこと考えて生きてんのか?
大江健三郎を読んでてもこんなこと思う。

最初こそ不思議な感じで、後半大きく展開を見せるのだけど、
とにかく文章がうまい。
売れっ子作家のなかでも結構な人数が”文章力はいまいちだけどストーリーが抜群に面白い”のでもてはやされているが(貴志祐介とか)この先生は完全に逆で、ストーリーがどうこうよりも圧倒的な文章力で強烈な世界感を作っているとてもレアなケース。

普通本は読み終わった後達成感や虚無感などを味わうのだが、この作品は読み終わった後不思議な気持ちになった。見てはいけないものを見てしまったような、新しいことを知ったけど自分のためには一切ならない知識のような。

正直なところ全容は理解できていない。現状ではざっとストーリーを掴んだだけ。2周目になればもう少し作者の意図が読み解けるだろうし3周目にはもっと自分の血肉となるべく砕くことができるだろう。
だけどしばらく読みたくない(笑)世界感にあてられました。
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過ぎ去りし王国の城/宮部みゆき

2017/10/26 06:55
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時々出て来る宮部のファンタジックな部分ですね。小暮写眞館とか。

主人公の普通の男子中学生が手に入れた不思議な王国の絵。この絵に触れると絵の中に入ってしまう…

設定自体はシンプルだけど、やはりキャラクターとストーリー構成がいい。
「おぉっ」と思わず言ってしまうような展開があるし、後半は殺人事件は起きないけどかなり深刻な事件も入り組んできて、これはどこにに着地するのか、綺麗に終わるのかと心配してしまいますが、それはいつもの宮部テクニックでなるほどこんな終わりがあったかとうなるほど綺麗にまとまる。

特に一つの事件に対して、それぞれの立場が違うから向き合い方も違うという状況は読んでる方としては納得するが書き手としてはなかなか考え付けれない部分かと思います。こういうところの演出が引き込まれる。
この作品はアニメにすると面白いんじゃないかなぁ。


もう一つの見どころとして推したいのは、表紙。
これ黒板にチョークで書かれた絵柄を写真に撮ったもの。チョークアートとでもいうのか、ネット界隈では有名な若いアーティストさんの作品ですね。テレビで特集されたのを偶然見たことがあります。この本を手に取ったのも「あ、これか~」と思ったから。
この表紙があったからこそ古城のデッサンの映像がより刻銘に脳裏に浮かび助かりました。
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ギケイキ

2017/10/17 06:42
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タイトルの意味が分からんと思ってたら、パソコンの変換機能で初めて『義経記』であると知る。
そう、
源義経の話である。

歴史ものといいたいところだがちょっと違う、
ずっとふざけてる。
そういやこの人『パンク侍、斬られて候』の作者だったな…

歴史には則ってるんだろうがとにかくずっとアホである。口が悪い。本家本元の義経ファンにはオススメしない。
私は面白かった。やっぱり町田康って天才だなと思った。


ところで、源義経の運命については大部分の人がなんとなく知っているだろう。私も知っていた。
盛大な兄弟げんかで兄に殺されそうになって岩手まで逃げてきたけど結局殺された美少年、的な(私の知識などこの程度)
もう少し背景を詳しく知っていたらもう少しこの本が楽しめたであろうことは否めない。

しかし弁慶の生い立ちについて知っている人は少なかろう。私も知らなかった。親は誰なのか、なぜ巨漢なのに坊主をやっていたのか、なぜ刀を千本集めたがっていたのか。この小説で読んで関心してしまった。
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リベルタスの寓話/島田荘司

2017/09/22 07:06
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どんなに仕事が忙しくても島田荘司を読む隙間だけはひねり出す
恐ろしい恐ろしい。
この作品は10年位前のものなんですが未読だったので今回読めて良かったのですが、かなり衝撃的でエグい内容と描写になっています。心の弱い女性は避けたほうがいいでしょう。ハートの強い私でさえ読んでて”うっぷ”ってなった。

今回も案の定厚くて表紙入れて3.5㎝ありますが2本話が入ってて、それでも厚いんだが、両方共クロアチアの民族紛争を題材にしています。
民族紛争ってどうしようもないものなんですかね…この狭い日本でさえ、そして現代でさえあれこれといざこざが起きていてその正義の名の元であればどんな残酷なことでも許される気になってしまう恐ろしさ。そりゃ人間は差別しなければ生きていけないんだろうけども。
これはフィクションですが、島田荘司なので取材は絶対してるはず。全くの嘘ではないと思うのです。というか読んでてありえると思った…。ヒットラーでもやらなかった残忍なことが別の土地では起きていた可能性は、人間だったらやってしまうだろう。

題材がエグいのでミステリそのものも結構エグい。今回ばかりは絶対に映像化しないことを祈る。

読んでてとても重たい本なので非常に心が苦しかったですが、知っておくべき事柄なんだろうなとははっきりと思いました。
だが二度は読みたくない。
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書楼弔堂 炎昼/京極夏彦

2017/09/16 07:03
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今回も厚い京極夏彦…表紙を入れて3.9cm。改行が多いとはいえよくこれほど書くもんだ。この人は自分を表現するのが文章というよりは文章書くのが好きなんだなぁって思う。

時代は明治か大正くらいでしょうか。
主人公の塔子が偶然たどり着いたのは一面そして天高く本が積まれた不思議な本屋。ここの店主は客人に合った本しか売ってくれない。この本屋と、そこを訪れる偉人たちとの不思議な交流…

偉人がマニアック過ぎ。私に学がないのは認めるがそれにしても知らない人多い。勝海舟は名前はしってるけど具体的にどんな最期をむかえた人だっけ??
書籍がマニアック過ぎ。私はたいして読書家ではないので知らないけれど、全部実在の本なんでしょうね。

正直私は弔堂で交わされる会話よりも、ここにたどり着くまでに起きる塔子の身の上の諸々がとても興味深かった。
時代、と言ってしまえばそれまでだけど、女が本を読むなど無駄なことだとまだ堂々と言う男がいっぱいいる中で、押し入れに隠してある1冊の本を夜中にこっそり2~3ページずつ読む塔子の姿や、女性の人権について考えたり語ったりするシーンは実に色々と思いを馳せらされた。
自由に本が読めるっていいなあ。


読み終わって気付いたけど、これおそらくシリーズで2冊めですね。目次が7から始まってたわ。これ1冊でも綺麗に始まり綺麗に終わっているから、前作は弔堂だけが同じで主人公が違うのかな?機会があれば読んでみます。
厚いのでしばらく休憩(笑)
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