トキオ/東野圭吾

2015/12/04 09:59
FxCam_1449014252994.jpg
最近読む本がなくなっちゃって、久々に本棚の奥から引っ張り出してきたのがこれ。読み返すのは7~8年ぶりだと思う。

概要は覚えてたんだけど細かい内容は忘れてたので結構楽しめました。ちなみに白い東野圭吾。
正直主人公が女をおっかけて大阪でなんやかんやするくだりはすげーだるくて、それよりも主人公の出生にまつわる事情とかを知るのが面白くてわくわくする。初回の時もまったく同じことを思ったのを覚えてる(笑)

人にはそれぞれ事情があって、誰しも他人の人生は自分よりいいもののように思えるけど、苦は色を変えるわけでそういう人生観を垣間見れるのが東野圭吾作品の面白いところ。
設定そのものは定番ですが、定番だからこそいい時間をすごさせてもらえる本だなぁと。

ラストの締めくくりがいいんだなー
これが印象深くて覚えてて、この最後のセリフを見たいがために読んたようなもの。きれいにすぱっとまとめてくれるミステリ作家ならではのラストだと思います!
るもえブログはまだ続く。



パレード/吉田修一

2015/11/27 10:47
FxCam_1446626221172.jpg
最近徹底的に読みたい作家の一人になってきた吉田修一。

このパレードはお勧めしていただいて、その際に「怖い」と聞いていたんですが、冒頭から~中盤~後半と青春小説のようなのりで、確かにルームシェアしている4人のメンバーに新しくサトルという謎の少年が加わって、各々に何かが起きてるような不穏な雰囲気はしているんだけど、そこまで怖くも…と思っていたら

最後の最後に
めちゃめちゃ怖い


それは真実ではなくて、
真実を気付きながらも気付かないフリをしてうわべの平穏を保っている全員の気持ちや行動が本当に怖くて、鳥肌とまんなかった。

無関心のようで、ある種とにかく必死に今の自分の生活を守ろうとしている二面性。これって小説の中だけじゃなくて現実にたくさんの人が心の内に抱えてることですよね…
波乱万丈よりは自分が耐えてでも上っ面の平穏を守りたいというのはもちろん悪い事じゃないわけだけど、これはあまににも…

本当にこの人の作品は人間の内面性というものをむき出しにして見せ付けられます。こういうものが何より恐ろしい。特におばけや幽霊と違って確実に実在している件が。


全く知らなかったんですけどこの作品は映像化もされてるみたいなので、機会があったら見てみたい気もします。メンタルに余裕があるときに(笑)
るもえブログはまだ続く。



乙女の港/川端康成

2015/11/13 07:55
"読書は娯楽"の俗な私がなぜ突然川端康成なんて純文学に手を出しているのか。
それはこちらか
百合男子からの課題図書
だから。

そう、この小説は百合なんです!


世の中にまだ"百合"という言葉がない時代…
ミッションスクールでは特別親しくしたり接吻したりするお姉さまとの間柄のことをシスターの頭文字を取って"エス"と言っていた(くしくもフランス語のスールもエスの頭文字という奇跡)

入学したばかりの三千子は二人のお姉さまから素敵なお手紙をいただく。
先にお手紙を下さった洋子お姉さまと親しくなるが、もう一人の克子さんと避暑に訪れた軽井沢で出会ってしまい…


まさかの百合ん百合んで三角関係。女の子の嫉妬心というのはいつの時代も厄介ですからぜーはーしながら読んでしまいました。マリみての土台ここにありき!

ノーベル文学賞作家が手がけてるかくも美しく耽で清楚な世界観。素晴らしいです。読み手の心はムラムラしっぱなしですがね!(先生もお嘆きか)
るもえブログはまだ続く。



カンタ/石田衣良

2015/11/10 10:28
FxCam_1447061136508.jpg
母親が水商売で育児放棄されがちの耀司が同じ団地で同い年のカンタと出会った5歳のところから物語りは始まります。
耀司は賢く口も達者で大人の顔色を見るのが得意の美少年。
カンタは発達障害の元気で素直なみそっかすと特殊能力のふり幅がでかい。
でこぼこな二人はでこぼこなだけにお互いを尊敬し、助け合って生きることになる。それは生涯にわたって。

カンタは発達生涯のため学校生活では浮いてしまうことが多く本人もすごく気にしているんだけど、賢いけれど自主性にかける耀司にとってやりたいことを実行するためにはカンタの数字に異常に強いという特殊能力は欠かせない。
カンタも他人とコミュニケーションをとるためには絶対に耀司という媒体が必要。
孤独な二人が支えあっている姿が切なくていいんだな~。

二人の生まれた時代が70年代くらいだと思うんだけど、最初なぜこの時代設定に??と不思議だったんだけど、やがて二人が飲まれていく時代の波があって「これがやりたかったのか」と納得しました。


石田衣良作品に詳しい方はご存知かと思いますが、石田衣良には白い石田衣良(チッチと子など)と黒い石田衣良(北斗など)の二種類がいて、この本はどっちかなー…と不安を抱えながら読み始めるわけで、冒頭から後半にかけてずっと二人には不穏な空気がまとわりついているので"ああこれはもうだめだ、黒いほうだ"とラストは恐る恐る読んで心の準備をしてたんですが、最後の最後で白い石田衣良だった。ラスト、すてきな終わりです。ネタバレになりそうですが安心して読んでいただきたいので!
とても素敵な本です。
カンタがとてもかわいい子です。
るもえブログはまだ続く。



ニサッタ ニサッタ/乃南アサ

2015/11/06 10:52
FxCam_1446690130061.jpg
久々の乃南先生の現代小説です。

主人公・耕平は典型的な若者。現状に不満を抱き、自分に可能性を持ち、力を過信し、他人を馬鹿にして、世の中を甘く見る。今の、という冠はつけません。いつの時代も若者とはこういうものですからね。
北海道から上京し大学を卒業するも就職した会社はちょっとの気に入らなさからすぐ辞職、そのまま一気に道を転げ落ちていく様というのは正直もうぞわぞわして降りました。辞職したときはほんとに軽い気持ちだったんでしょうが、負というものは連鎖する…転げ落ちる時は一気です。その様は全くの他人事としてはみれなかったですね。自分だっていつ甘さをすくわれるか分からないわけで。

耕平が少しずつ現実というものをわかってくるのがなんとか踏みとどまった新聞配達という仕事と、そこで合う杏菜という女の子のおかげ。杏菜は太ってて色黒の女の子で、どんくさくてでも辛抱強い。なんだか目が離せなくなるのは読者も一緒です。

単純な恋愛話ということではなくて(というかラブ的なことは劇中ではほぼない)、そこには人の生い立ちというものが深く関わっている。その話は実に心にしみました。

よくテレビでは人の心配をあおる言葉がおおく聞かれて将来だのこれからだのという言葉を耳にしますが、今日のことだけ考えて生きるってそれはそれですごく大切だと思う。先のことを心配して今日をおろそかにするなんてそれこそ本末転倒だし、今日のことだけしか考えれない状況も人生には何度もくるだろう。
いいんじゃないかな。
明日のことは明日心配すれば。
タイトルのニサッタ ニサッタですが、アイヌ語で「明日」という意味だそうです。

表紙も入れて3.5cmという厚みですが、主人公に呆れつつも心配で目が離せなくなるのでいっきにすすみますよ。
この現代小説は孤独から救われます。
るもえブログはまだ続く。



 Home Next>>